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【建設の背景】 (世界的な流れ)
1.いわゆる「グローバル化」がますます進んでおり、わが国も諸国との人的、物的交流がますます盛んになってゆく流れにあることから、 今後とも発生するであろう旅客流動の増加に対応してゆくことが求められている。 2.二酸化炭素排出量の著しい増加に伴う地球温暖化が進んでいることから、 その抑制をすべく京都議定書が施行され、わが国では6%の削減が求められているが、 全排出量に締める交通運輸部門のシェアは大きく、わが国においては全体の2割を占めていることから、 その排出量の削減について積極的に取り組むことが求められている。 3.テロ等国際犯罪も少なからず発生しており、 交通機関(特に駅や空港、航空機など)もまたその標的にさらされている。 (わが国の社会情勢)
1.少子高齢化がますます進んでおり、特殊出生率も1.2人台にまで落ち込んでいることから、将来の交通機関の利用者数についても著しい増加は見られないものとされている。 2.わが国の国家財政は800兆円、地方も200兆円にも上る長期債務を抱えており、 今尚増加の一途を辿っていることから、新規のインフラを立ち上げるのは厳しい状況にある。 (わが国の航空機を巡る情勢)
1.羽田空港は1日当たり400便以上の離陸便数を数えるが、これに伴いの著しい混雑や遅延は常態化している状況にある。 2.羽田空港の滑走路増設計画は2009年度の使用開始を目途に鋭意工事が進んでおり、 完成すれば年間の離着陸可能回数は28万回から40万回に増加することで、大幅な増便が可能になる。 http://www.mlit.go.jp/koku/04_outline/01_kuko/02_haneda/index.html 3.羽田空港は、昨今のグローバル化の流れや成田空港の逼迫などに伴い、 滑走路増設完了に合わせて国際化を推進する予定であり、国際線ターミナルビルの設置工事を始めたところである。 4.羽田空港新ターミナル設置に伴い空港使用料が新たに徴収されているが、 このほか昨今の石油価格の値上がりに伴い、航空運賃の値上げも検討されている。 5.新千歳空港は、北海道における国内各都市との交通拠点として重要な役割を持っている。 6.新千歳空港は国際空港としても位置づけられているが、設定されている路線や便数等は限られている。 7.日本航空・全日空の経営状態は、必ずしも経営状態は芳しいものではなく、ぎりぎりの利益を出している状況にある。 8.北海道国際航空の経営状態はかなり厳しく、 自治体からの補助や全日空に一部の座席をコードシェアさせるなどの施策でかろうじて会社が維持できている状況である。 (整備新幹線を巡る情勢)
1.整備新幹線の建設ペースは遅く、昭和48年に整備計画路線として指定された線区のうち、既に開業しているのは高崎〜長野間、盛岡〜八戸間、新八代〜鹿児島中央間のみである。 しかしながら、これらの路線の利用状況は極めて順調で、各線とも開業前に比して著しい旅客数の増加をみている。 2.上記で目下建設中の区間は八戸〜新青森間、長野〜上越〜富山間、石動〜金沢間、博多〜新八代間であったが、 今回、これらに新青森〜新函館間、富山〜石動間が追加された。 また武雄温泉〜諫早間についても地元協議が整い次第追加される予定であるが、難航している状況にある。 3.整備新幹線の整備財源のうち、JR各社が支払う新幹線譲渡収入については年間わずか724億円に過ぎない。 また、この特定財源は2017年度上半期までしか使えないこととしているが、これはJR各社の見解と異なっている。 (JRでは2051年度まで整備新幹線の建設財源として使う旨の見解を持っている。) 4.このほか、旧国鉄の残した長期債務のうち、国鉄清算事業本部が引き継いだ額は現状でも28.3兆円にも上っており、 整備新幹線建設財源を確保する上での足かせとなっている。 (北海道〜本州間の輸送の現状)
1.北海道〜本州間の旅客流動は年間約2548万人(H15年度)にも達し、そのうち86%を航空機に依存しているが、その大半は札幌(新千歳)〜東京(羽田)間の流動であり、年間925万人(H15年度)もの旅客数を数える。 http://www.hkt.mlit.go.jp/tokei/nenpou/ryokyaku15/rt15_1.pdf http://www.hkt.mlit.go.jp/tokei/nenpou/ryokyaku15/rt15_10.pdf 2.北海道〜首都圏間の鉄道輸送は、八戸、函館乗り継ぎで9時間以上要するなど、所要時間が掛かりすぎており、 実用性に欠けている。 (シェアの大半は「北斗星」「カシオペア」といった特殊な列車を利用した層と考えられる。) 3.北海道〜東北間の旅客流動は、地域が隣接している割には小さなものになっている。 これは、そもそも津軽海峡を隔てているという地理的な要因のほか、 航空機の便数は札幌(新千歳)〜仙台間を除いてごく限られており、 鉄道では時間がかかりすぎているなど、交通が不便な状況にあるためと考えられる。 4.北海道〜本州間の貨物輸送のうち、鉄道の占める割合は約8%であるが、 全国平均からすれば高いシェアで、 現に貨物列車が26往復(うち定期23往復、臨時3往復)も設定されている。 これは、天候に左右されにくい青函トンネルを使った需要が一定の支持を得ているためと考えられる。 (新幹線の技術開発の現状等)
1.新幹線の速度向上技術は向上しており、最高速度300km/h運転については既に山陽新幹線において実現されている。2.JR東日本では現在、最高速度360km/hでの営業運転の実現に向けて研究開発中であり、2005年6月に試作車をデビューさせ、 3年間にわたる試験運転を実施することになっている。 【建設の目的】
1.北海道〜本州間の旅客輸送を、実用的交通機関である航空機と新幹線との二重系にすることで、強固な輸送体系を確立する。2.北海道〜本州間の旅客流動について、航空機から新幹線へのシフトを促すことで、羽田空港の混雑緩和を促すとともに、北海道〜 本州間の旅客流動に伴い生じている環境負荷を緩和する。 3.北海道〜本州間の旅客輸送体系を二重系にすることで、潜在的な需要を発掘し、新たな旅客流動を発生させる。 4.これらに伴い、新幹線沿線地域の産業・経済等の活性化を図る。 【期待される効果、期待できる効果】
(旅客に対する直接的な効果)1.東京〜札幌間が新幹線で結ばれると、4時間50分程度を要するとされているが、現在実用化されている最高速度300km/h運転 あれば4時間20分程度となる。更に360km/h運転が可能となった場合、4時間を大きく下回ることになり、航空機による所要時間 とは実質的に差がなくなる。 2.新幹線はダイヤが正確、運休率が低い、風水害に強いといった航空機にない特徴があることから、旅行スケジュールが作成しやす くなる。 3.運賃やダイヤ(所要時間、フリクエンシー)、車内(機内)設備などで鉄道事業者と航空事業者との間でサービス競争を繰り広げるこ とで、利用者の利便性向上を促すことが期待される。 (鉄道事業者等に対する効果)
1.JR東日本、JR北海道とも、旅客の航空機からの大幅な転移が期待されるので、旅客営業収入が著しく増加することになる。2.JR北海道の経営安定化に伴い、経営安定基金の運用益に依存した経営体質から脱却できるとともに、法人税支払可能額の増加、 あるいは国鉄清算事業本部の所有する株式を市場に売却できることが期待できる。 さらに同社の経営改善により、道内の他路線の改良やサービスの向上への投資が可能になりうる。 3.JR貨物の貨物列車については、新幹線開業に伴って並行在来線特急列車が廃止されることにより、所要時間の短縮や増発が可 能になる。 4.これまで使われ方が不十分であった青函トンネルが、本来の使われ方になる。 5.航空会社については経営への影響が起こりかねないほどの減収は避けられない。北海道国際航空にいたってはその存続すら危 ぶまれる。 (沿線地域に与える効果)
1.北海道〜本州間の旅客輸送の利便性が向上することに伴い、首都圏、東北、北海道の各地域相互間での人的交流が活性化される。 2.上記により、各地域での経済活性化に寄与する。ただし、ストロー現象などの側面もある。 (その他の効果) 1.首都圏・東北と北海道との間に生じている「遠い」というイメージを払拭する可能性がある。 【問題点】
1.まとまった需要がある区間は首都圏〜道央圏ということになるが、そのためには航空による所要時間に比して遜色のない輸送をすることが必然的に求められる。 これを実現するために最高速度360km/hでの輸送をすることで4時間以内で結ぶことが要求されるのだが、 最高速度360km/h運転については、JR東日本が試作車両(FASTECH360)を導入する段階にまでになるほどに 技術的な目処が立っているものの、騒音対策を始めとした問題については未だ克服していない。 今後のJR東日本の技術開発成果が待たれるところである。 2.青函トンネルについては貨物列車と新幹線が競合することになるが、 速度水準の著しく異なる両者を走らせるためのダイヤの調整やすれ違い対策などを講じる必要がある。 場合によっては貨物列車に160km/h以上の速度を求めなければならないことも考えられる。 3.並行在来線は貨物輸送のために存続すべきものであるが、ローカル輸送と貨物輸送では賄いきれない可能性が高い。 リース料の一部を補填するなど何らかの補助手段を講じる必要も含めて検討する必要がある。 なお、既にその対策については過去に次のような整理がなされた経緯がある。 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/08/081024_.html 4.新函館〜札幌間で1.08兆円に上る建設費について、その財源の確保をどうするか。 早期建設のためには、新幹線譲渡収入の充当だけでは不足するので北海道開発予算や 借入金(財投/国債)の充当なども含め、今後検討する必要がある。 また、根元受益を財源として当てるべき論もあるが、JR東日本が強く反発しているだけでなく、 同社もまた長期債務を抱えているなど簡単に費用を負担できる状況になっているわけではない。 また、JR北海道についても経営安定基金の運用益でかろうじて黒字経営ができている状況で、 整備新幹線の費用については開業後の使用量と言う形でしか負担することはできない状況にある。 |
【建設の背景】 (世界的な流れ)
1.いわゆる「グローバル化」がますます進んでおり、わが国も諸国との人的、物的交流がますます盛んになってゆく流れにある。2.二酸化炭素排出量の著しい増加に伴う地球温暖化が進んでいることから、その抑制が叫ばれている中で、交通機関による 二酸化炭素排出量は非常に大きいものがある。 3.テロ等国際犯罪も少なからず発生しており、交通機関もまたその標的にさらされている。 (わが国の社会情勢)
1.少子高齢化がますます進んでおり、特殊出生率も1.3人台にまで落ち込んでいることから、将来の交通機関の利用者数についても著しい増加は見られないものとされている。 2.わが国の国家財政は800兆円にも上る長期債務を抱えており、今尚増加の一途を辿っていることから、新規のインフラを立ち 上げるのは厳しい状況にある。 (わが国の航空機を巡る情勢)
1.羽田空港の著しい混雑や、これに伴う遅延は常態化している状況にある。2.羽田空港の滑走路増設計画は進んでおり、完成すれば年間の離着陸可能回数は28万回から40万回に増加することで、大 幅な増便が可能になる。 3.羽田空港は、昨今のグローバル化の流れや成田空港の逼迫などに伴い、滑走路増設完了に合わせて国際化を推進する予 定である。 4.羽田空港新ターミナル設置に伴い空港使用料が新たに徴収されているが、このほか昨今の石油価格の値上がりに伴い、 航空運賃の値上げも検討されている。 5.新千歳空港については国際化を推進しているが、現状では限られている。 (整備新幹線を巡る情勢)
1.整備新幹線の建設ペースは遅く、昭和48年に定められた線区のうち、既に開業しているのは高崎〜長野間、盛岡〜八戸間、新八代〜鹿児島中央間のみである。しかしながら、これらの路線は開業後著しい旅客数の増加をみている。 2.上記で目下建設中の区間は八戸〜新青森間、長野〜上越〜富山間、石動〜金沢間、博多〜新八代間であったが、今回、 これらに新青森〜新函館間、富山〜石動間が追加された。 また武雄温泉〜諫早間についても地元協議が整い次第追加される予定である。 4.整備新幹線の整備財源のうち、JR各社が支払う新幹線譲渡収入については年間わずか724億円に過ぎない。 5.このほか、旧国鉄の残した長期債務のうち、国鉄清算事業本部が引き継いだ額は現状でも28.3兆円にも上っており、整備新 幹線建設財源を確保する上での足かせとなっている。 (北海道〜本州間の輸送の現状)
1.北海道〜本州間の旅客輸送はその9割を航空機に依存しているが、その大半は千歳〜羽田間の流動であり、年間1000万人に迫る旅客数を数える。 2.北海道〜首都圏間の鉄道輸送は、所要時間が掛かりすぎて実用性に欠けている。 (シェアの大半は「北斗星」「カシオペア」といった特殊な列車を利用した層と考えられる。) 3.北海道〜東北間の旅客流動は、現状では小さなものになっている。これは、航空機の便数は札幌〜仙台間を除いてごく限られ ており、鉄道では時間がかかりすぎているなど、交通が不便な状況にあるためと考えられる。 4.北海道〜本州間の貨物輸送のうち、鉄道の占める割合は約8%であるが、全国平均からすれば高いシェアで、現に貨物列車が 26往復(うち定期23往復、臨時3往復)も設定されている。 これは、天候に左右されにくい青函トンネルを使った需要が一定の支 持を得ているためと考えられる。 (新幹線の技術開発の現状等)
1.新幹線の速度向上技術は向上しており、最高速度300km/h運転については既に山陽新幹線において実現されている。2.JR東日本では現在、最高速度360km/hでの営業運転の実現に向けて研究開発中であり、2005年6月に試作車をデビューさせ、 3年間にわたる試験運転を実施することになっている。 【建設の目的】
1.北海道〜本州間の旅客輸送を、実用的交通機関である航空機と新幹線との二重系にすることで、強固な輸送体系を確立する。2.北海道〜本州間の旅客流動について、航空機から新幹線へのシフトを促すことで、羽田空港の混雑緩和を促すとともに、北海道〜 本州間の旅客流動に伴い生じている環境負荷を緩和する。 3.北海道〜本州間の旅客輸送体系を二重系にすることで、潜在的な需要を発掘し、新たな旅客流動を発生させる。 4.これらに伴い、新幹線沿線地域の産業・経済等の活性化を図る。 【期待される効果、期待できる効果】
(旅客に対する直接的な効果)1.東京〜札幌間が新幹線で結ばれると、4時間50分程度を要するとされているが、現在実用化されている最高速度300km/h運転 あれば4時間20分程度となる。更に360km/h運転が可能となった場合、4時間を大きく下回ることになり、航空機による所要時間 とは実質的に差がなくなる。 2.新幹線はダイヤが正確、運休率が低い、風水害に強いといった航空機にない特徴があることから、旅行スケジュールが作成しやす くなる。 3.運賃やダイヤ(所要時間、フリクエンシー)、車内(機内)設備などで鉄道事業者と航空事業者との間でサービス競争を繰り広げるこ とで、利用者の利便性向上を促すことが期待される。 (鉄道事業者等に対する効果)
1.JR東日本、JR北海道とも、旅客の航空機からの大幅な転移が期待されるので、旅客営業収入が著しく増加することになる。2.JR北海道の経営安定化に伴い、経営安定基金の運用益に依存した経営体質から脱却できるとともに、法人税支払可能額の増加、 あるいは国鉄清算事業本部の所有する株式を市場に売却できることが期待できる。 さらに同社の経営改善により、道内の他路線の改良やサービスの向上への投資が可能になりうる。 3.JR貨物の貨物列車については、新幹線開業に伴って並行在来線特急列車が廃止されることにより、所要時間の短縮や増発が可 能になる。 4.これまで使われ方が不十分であった青函トンネルが、本来の使われ方になる。 5.航空会社については経営への影響が起こりかねないほどの減収は避けられない。北海道国際航空にいたってはその存続すら危 ぶまれる。 (沿線地域に与える効果)
1.北海道〜本州間の旅客輸送の利便性が向上することに伴い、首都圏、東北、北海道の各地域相互間での人的交流が活性化される。 2.上記により、各地域での経済活性化に寄与する。ただし、ストロー現象などの側面もある。 (その他の効果) 1.首都圏・東北と北海道との間に生じている「遠い」というイメージを払拭する可能性がある。 【問題点】
1.最高速度360km/h運転については、JR東日本が試作車両を導入する段階にまでになるほどに技術的な目処が立っているものの、騒音対策を始めとした問題については未だ克服していない。今後のJR東日本の技術開発成果が待たれるところである。 2.青函トンネルについては貨物列車と新幹線が競合することになるが、速度水準の著しく異なる両者を走らせるための調整やすれ 違い対策などを講じる必要がある。 3.並行在来線は貨物輸送のために存続すべきものであるが、ローカル輸送と貨物輸送では賄いきれない可能性が高い。 リース料の一部を補填するなど何らかの補助手段を講じる必要も含めて検討する必要がある。 4.新青森〜札幌間で1.5兆円以上に上る建設費について、その財源の確保をどうするか。 早期建設のためには、新幹線譲渡収入の充当だけでは不足するので北海道開発予算や借入金(財投/国債)の充当なども含め、 今後検討する必要がある。 |
【建設の背景】 (世界的な流れ)
1.いわゆる「グローバル化」がますます進んでおり、わが国も諸国との人的、物的交流がますます盛んになってゆく流れにある。 2.二酸化炭素排出量の著しい増加に伴う地球温暖化が進んでいることから、その抑制が叫ばれている中で、交通機関による二 酸化炭素排出量は非常に大きいものがある。 3.テロ等国際犯罪も少なからず発生しており、交通機関もまたその標的にさらされている。 (わが国の社会情勢)
1.少子高齢化がますます進んでおり、特殊出生率も1.3人台にまで落ち込んでいることから、将来の交通機関の利用者数についても著しい増加は見られないものとされている。 2.わが国の国家財政は800兆円にも上る長期債務を抱えており、今尚増加の一途を辿っていることから、新規のインフラを立ち上 げるのは厳しい状況にある。 (わが国の航空機を巡る情勢)
1.羽田空港の著しい混雑や、これに伴う遅延は常態化している状況にある。 2.羽田空港の滑走路増設計画は進んでおり、完成すれば年間の離着陸可能回数は28万回から40万回に増加することで、大幅 な増便が可能になる。 3.羽田空港は、昨今のグローバル化の流れや成田空港の逼迫などに伴い、国際化を検討する段階に入ってきている。 4.羽田空港新ターミナル設置に伴い空港使用料を徴収することが決定されたが、このほか昨今の石油価格の値上がりに伴い、 航空運賃の値上げも検討されている。 5.新千歳空港については国際化を推進しているが、現状では限られたものである。 (整備新幹線を巡る情勢)
1.整備新幹線の建設ペースは遅く、昭和48年に定められた線区のうち、既に開業しているのは高崎〜長野間、盛岡〜八戸間、 新八代〜鹿児島中央間のみである。しかしながら、これらの路線は開業後著しい旅客数の増加をみている。 2.上記で目下建設中の区間は八戸〜新青森間、長野〜上越〜富山間、石動〜金沢間、博多〜新八代間と限られている。 3.建設中の区間は上記に加え、新青森〜新函館間、富山〜石動間、武雄温泉〜諫早間について組み入れられた。 4.整備新幹線の整備財源のうち、JR各社が支払う新幹線譲渡収入については年間わずか724億円と極めて限られたものとな っている。 5.このほか、旧国鉄の残した長期債務のうち、国鉄清算事業本部が引き継いだ額は現状でも28.3兆円にも上っており、整備新 幹線建設財源を確保する上での足かせとなっている。 (北海道〜本州間の輸送の現状)
1.北海道〜本州間の旅客輸送はその9割を航空機に依存しているが、その大半は千歳〜羽田間の流動であり、年間1000万人に迫る旅客数を数える。 2.北海道〜首都圏間の鉄道輸送は、所要時間が掛かりすぎて実用性に欠けている。(シェアの大半は「北斗星」「カシオペア」とい った特殊な列車を利用した層と考えられる。) 3.北海道〜東北間の旅客流動は、現状では小さなものになっている。これは、航空機の便数は札幌〜仙台間を除いてごく限られて おり、鉄道ではやはり時間がかかりすぎているためと考えられる。 4.北海道〜本州間の貨物輸送のうち、鉄道の占める割合は約8%であるが、全国平均からすれば高いシェアで、現に貨物列車が 26往復(うち定期23往復、臨時3往復)も設定されている。 これは、天候に左右されにくい青函トンネルを使った需要が一定の支 持を得ているためと考えられる。 (新幹線の技術開発の現状等)
1.新幹線の速度向上技術は向上しており、最高速度300km/h運転については既に実現されている。 2.JR東日本では現在、最高速度360km/hでの営業運転の実現に向けて研究開発中であり、2005年度にも試作車をデビューさせる 予定である。 【建設の目的】
1.北海道〜本州間の旅客輸送を、実用的交通機関である航空機と新幹線との二重系にすることで、強固な輸送体系を確立する。 2.北海道〜本州間の旅客流動について、航空機から新幹線へのシフトを促すことで、羽田空港の混雑緩和を促すとともに、北海道〜 本州間の旅客流動に伴い生じている環境負荷を緩和する。 3.北海道〜本州間の旅客輸送体系を二重系にすることで、潜在的な需要を発掘し、新たな旅客流動を発生させる。 4.これらに伴い、新幹線沿線地域の産業・経済等の活性化を図る。 【期待される効果、期待できる効果】 (旅客に対する直接的な効果)
1.東京〜札幌間が新幹線で結ばれると、4時間50分程度を要するとされているが、現在実用化されている最高速度300km/h運転あれば4時間20分程度となる。更に360km/h運転が可能となった場合、4時間を大きく下回ることになり、航空機による所要時間とは実質 的に差がなくなってくる。 2.新幹線はダイヤが正確、運休率が低い、風水害に強いといった航空機にない特徴がある。 3.運賃やダイヤ(所要時間、フリクエンシー)、車内(機内)設備などで鉄道事業者と航空事業者との間でサービス競争を繰り広げることで、 利用者の利便性向上を促すことが期待される。 (鉄道事業者等に対する効果)
1.JR東日本、JR北海道とも、旅客の航空機からの大幅な転移が期待されるので、旅客営業収入が著しく増加することになる。 2.JR北海道の経営安定化に伴い、法人税支払可能額の増加、株式によるリターン増加、経営安定基金依存体質からの脱却が期待で きる。さらに同社の経営改善により、道内の他路線の改良やサービスの向上への投資が可能になりうる。 3.新幹線開業に伴い特急列車が廃止されることにより、JR貨物の貨物列車については所要時間の短縮や増発の可能性も出てくる。 4.これまで使われ方が不十分であった青函トンネルが最大限に活用されることになる。 5.航空会社については経営への影響が起こりかねないほどの減収は避けられない。北海道国際航空にいたってはその存続すら危ぶま れる。 (沿線地域に与える効果)
1.北海道〜本州間の旅客輸送の利便性が向上することに伴い、首都圏、東北、北海道の各地域相互間での人的交流が活性化される。2.上記により、各地域での経済活性化に寄与する。ただし、ストロー現象などの側面もある。 (その他の効果)
1.首都圏・東北と北海道との間に生じている「遠い」というイメージを払拭する可能性がものすごく高い。【問題点】
1.最高速度360km/h運転については、JR東日本が試作車両を導入する段階にまでになるほどに技術的な目処が立っているものの、騒音対策を始めとした問題については未だ克服していない。今後のJR東日本の技術開発成果が待たれるところである。 2.青函トンネルについては貨物列車と新幹線が競合することになるが、速度水準の著しく異なる両者を走らせるための調整やすれ違い 対策などを講じる必要がある。 3.並行在来線は貨物輸送のために存続すべきものであるが、ローカル輸送と貨物輸送では賄いきれない可能性が高い。 リース料の一部を補填するなど何らかの補助手段を講じる必要も含めて検討する必要がある。 4.新青森〜札幌間で1.5兆円以上に上る建設費について、その財源の確保をどうするか。 早期建設のためには、新幹線譲渡収入の充当だけでは不足するので北海道開発予算や借入金(財投/国債)の充当なども含め、今 後検討する必要がある。 |
【建設の背景】
1.北海道〜本州間の旅客輸送はその9割を航空機に依存している 2.上記のうちの大半は千歳〜羽田間の流動あり、年間1000万人に迫る旅客数を数える。 3.羽田空港の混雑や、これに伴う遅延は常態化しており、滑走路増設計画は進んでいるが、 国際線対応との絡みがあって今後の増発が期待できるかは未知数。 4.北海道〜首都圏間の鉄道輸送は、所要時間がかかりすぎて実用性に欠けている。 シェアの大半は「北斗星」「カシオペア」といった特殊な列車を利用した層と考えられる。 5.北海道〜東北間はさほど需要がないと見られているが、航空機の便数は札幌〜仙台間を除いてごく限られているし、 鉄道ではやはり時間がかかりすぎている。 6.北海道〜本州間の貨物輸送のうち鉄道のしめる割合は約8%で、 全国平均からすれば高いシェアで、現に貨物列車が26往復も設定されている。 これは、天候に左右されにくい青函トンネルを使った需要が一定の支持を得ているということを意味している。 7.新幹線の速度向上技術は向上しており、最高速度300km/hは実現されているうえに、 JR東日本が現在360km/hでの営業運転の実現に向けて研究開発中である。 8.わが国の国家財政は800兆円にも上る長期債務を抱えており、今尚増加の一途を辿っている。 それゆえ新幹線に限らず新規の公共事業を立ち上げるのは困難な状況にある。 【建設の目的】
1.北海道〜本州間の旅客輸送を、実用的交通機関である航空機と新幹線との二重系にすることで、強固な輸送体系を確立する 2.航空機から新幹線へのシフトを促すことで、羽田空港の混雑緩和を促すとともに、 北海道〜本州間の旅客流動に伴い生じている環境負荷を緩和する。 3.二重系にすることで、潜在的な需要を発掘し、新たな旅客流動を発生させること 4.JR北海道の経営安定化→法人税、株式によるリターン、経営安定化基金の減少 5.JR北海道の経営改善により、道内の他路線の改良やサービスの向上の可能性もある。 6.青函トンネルの有効活用。 【期待できるサービス、期待されるサービス】
1.東京〜札幌間が新幹線で結ばれると最高速度300km/h運転で4時間20分程度となるが、更に360km/h運転で3時間40分程度で結ばれることになると、航空機による所要時間とは実質的に差がなくなってくる。 2.新幹線はダイヤが正確、運休率が低い、風水害に強いといった航空機にない特徴があり、これは十分期待できる。 3.東京〜札幌間は航空機と同等の所要時間(3時間半〜4時間)、フリクエンシーで結ばれることが期待される。 4.運賃やダイヤ、車内(機内)設備などで鉄道事業者と航空事業者との間でサービス競争を繰広げることで、 利用者の利便性向上を促すことが期待される。 【問題点】
1.最高速度360km/h運転についてはある程度技術的な目処が立っているものの、騒音対策を始めとした未解決問題を克服していない 2.青函トンネルについては貨物列車と新幹線が競合することになるが、 速度水準の著しく異なる両者を走らせるための調整やスレ違い対策などを講じる必要がある。 3.並行在来線は貨物輸送のために存続すべきものであるが、ローカル輸送と貨物輸送では賄いきれない可能性が高く、 何らかの補助手段を講じる必要も含めて検討する必要がある。 4.新青森〜札幌間で1.5兆円以上に上る建設費について、その財源の確保をどうするか。 新幹線譲渡収入の充当だけでは不足するので、北海道開発予算や借入金(財投/国債)の充当なども含め、 今後検討する必要がある。 |